コミックレンタルと漫画喫茶（ネットカフェ）は漫画家さんの利益になるのか？著作権と貸与権について

コミックレンタルと漫画喫茶（ネットカフェ）について調べているうちに、一つ気になった事が出てきました。

「これらのサービスで漫画家（作家）さんに利益はあるのだろうか？」

私達の節約生活においては、直接的には関係のない話ではあります。しかし娯楽の一つとして私達を楽しませてくれる作家さん本人達の利益になっていないとしたら、それは社会として健全ではないと思うのです。

いくら安くて私達にとって便利であっても、漫画業界として健全ではない場合は、いつか是正される可能性があります。いつまでも安く楽しみ続けるためにも、コミックレンタルや漫画喫茶（ネットカフェ）と漫画家さん達の著作権の関係について知っておく必要があると考えました。

2005年から認められた漫画の貸与権

CDレンタルには貸与権（著作権法26条の3：著作物を営利目的で不特定多数者に貸与する権利）が与えられていて、レンタルショップからJASRACを通じて、著作権者に貸与権料が支払われる仕組みになっています。

この貸与権に以前は漫画は含まれていなかったのですが、2004年の法改正（2005年1月1日施行）によって、除外されていた漫画にも与えられることになりました。よって2005年以降からはCDのレンタル同様に、漫画についても著作権者に貸与権に基づく使用料が支払われる事となったのです。

結論としてはコミックレンタルは、漫画家さん（著作権者）に利益となるサービスという事になります。直接漫画を購入した利益よりも少ないとは思いますが、まったく入らないよりは良いと思いますし、健全なサービスであると言っていいと思います。

貸与にあたらない漫画喫茶（ネットカフェ）

ところが、漫画喫茶（ネットカフェ）はこの貸与権は発生しないというのです。

店外へ持ち出していないものについては貸与とは認められないという理屈のようです。要は漫画喫茶（ネットカフェ）は漫画を貸しているのではなく、店内で閲覧できる状態にしているだけという事。よって著作権は侵害していないし、貸与に該当しないというわけです。

よって漫画喫茶（ネットカフェ）でいくらお金を払って沢山漫画を読んでも、漫画家さん（著作権者）には1円も入ってこないという事になります。

当然漫画家さん（著作権者）にとっては見過ごせない状況といっていいでしょう。自分たちの作品を使って商売をして儲けているのに、一切お金が入ってこないのですから健全な状態とはいえません。漫画家さん達は「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」という団体を設立し、漫画の著作権の保護の為、漫画喫茶（ネットカフェ）業界と何度も話し合いをしているといいます。

漫画喫茶は今後どうなるのか？

貸与権によって、著作権者から正式に認められたコミックレンタルと比べ、著作権者に1円も入らない漫画喫茶（ネットカフェ）。今後どうなるかは分かりませんが、漫画喫茶（ネットカフェ）のあり方については変化していく可能性は十分に考えられると思います。

法的に漫画喫茶にも貸与権が認められる、または別の形で著作権者に使用料を支払う仕組みが確立すれば、もしかしたら現在の料金体系では続けられないかもしれません。利益が減る事で漫画喫茶業界が縮小していくという流れも起こるかもしれません。

まとめ

• 法的に正式に認められているコミックレンタルの方が社会的に健全であり、サービスの質が維持され続ける可能性が高いと思われます。
• 逆に漫画喫茶（ネットカフェ）は著作権者に利益となる仕組みがないため、健全とはいいがたい状況だと考えます。
• 私達の節約生活に直接的には関係ないかもしれませんが、私は安さ以上に、コミックレンタルを応援したくなりました。

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